体調不良小説 好きな人に癒されたい!

体調不良のときに癒してくれる彼氏を妄想。

小説 プラリネ⑥

葵side

 

田中さんがうちに来てくれる!

 

もともとひょっとしたらデート終わりに来てくれるかな?と期待して

掃除はしてあるからその辺の心配はない。

 

ただ鏡をみると何とも覇気のない顔色の悪い顔。

こんな可愛くない私を晒してしまってよいものだろうか・・。

仮病でないことだけは伝わるな・・苦笑。

 

鎮痛剤が効いてきて頭痛と腹痛は多少ましになってきている。

ただ貧血の状態が続いていて、体が重いしめまいがひどい。

おもてなしはできないにしても、会話くらいはちゃんとしないと・・。

 

<<ピンポーン>>

わわ!来てくれた!!

少しフラつきながらもなんとか玄関に急いで向かう。

とりあえず今日のデートをドタキャンしてしまったこと、きちんと謝らなきゃ。

 

<<ガチャ>>

「田中さん、今日は本当にごめんなさい」

「いやいや、そんなこと。葵さん、大丈夫?」

 

「あ、どうぞ。とりあえず入ってください。」

 

田中さんにとりあえず部屋に入ってもらう。

自分の部屋に田中さんがいるなんて!という嬉しさがこみあげてきて

なんとなくボーっと田中さんを眺めてしまう。

 

狭い部屋にいるからか、高身長な田中さんが余計に大きく見えて、

素敵だなあとふわふわとした気持ちで眺めていると、

なんだか心臓がドキドキしてきて、血の気が引いてきて・・

あれ?これ恋のどきどきじゃないな、

まずいドキドキだな・・。

 

呼吸が浅くなってきて、まっすぐ立っていられない。

頭が下がり体が前傾姿勢になってしまった。

 

「わ!葵さん、大丈夫?!やっぱりすごい重症だね、

とりあえずベッドで休もう。ベッドまで行ける?」

 

どうしよう、恥ずかしい。

田中さんが両肩を抱えてくれている!

まだ触れたことなかったと思うんだけど、こんな形で・・。

 

なんとか田中さんに抱えられてベッドまでいき、

へなへなとベッドに寝転んでしまった。

 

「さっそくこんな状態ですみません・・。

お茶でも入れたいところなんですけど。」

 

自分の声もなんだか遠くに聞こえる。

気分が悪くて、どう頑張っても笑顔が作れない。

いま、ひどい顔してるんだろうな・・。

 

「ゆっくりしなきゃ。今どこが辛い?」

 

ああ・・田中さんの優しい声が耳に心地よい。

田中さん、優しいなあ。こんな人と付き合えたらなあ。

と薄っすら思うも、それよりも気分の悪さがマックスで。

必死で呼吸を整えようとするんだけどなかなかうまくいかず。

 

「ちょっと貧血・・で・・めまいがするのと・・気分が悪くて・・」

 

わたし、ちゃんとしゃべれているんだろうか。

 

「貧血か、なるほどね。少し足あげようか。」

 

手際よく看病してくれる田中さん。

貧血と言ったので田中さんは察してくれたのだろう、

「お腹痛くない?」と聞いてくれた。

 

恥ずかしくて死にそうになるも小さな声で「少し」と答えた。

 

 

 

 

小説 プラリネ⑤

田中Side

 

葵さんのマンションまで来てみたが、インターホンには出れないようだ。

かなり心配ではあるが、これ以上はどうしようもできない。

差し入れだけドアに掛けて、その旨をラインで連絡しておこう。

近くのカフェで少しだけ待ってみようかな。

 

しばらくカフェで時間をつぶしていると、電話が。

葵さんだ。

 

『田中さん、今日は本当にごめんなさい。うちに来てくれたんですね、あの、居留守してしまって本当に、ごめんなさい、あの、田中さんだとは思わなくって・・』

 

声はかなり弱々しいが、朝の切羽詰った感じではないようで少しだけ安心する。

 

「全然気にしないで、ゆっくり休んでね。体調はどんな感じ?」

 

『さっき薬を飲んだので、もう少ししたら楽になると思うのですが、、本当にごめんなさい。。』

 

消え入りそうな声で謝る葵さん。そんなに謝らないでほしいよ。

でも声を聞いたら会いたくなってしまうな。

 

「もし葵さんがよければなんだけど、お部屋にいってもいいかな。」

 

「え?いまどこにいるんですか?」

 

「実は近くのカフェでコーヒー飲んでるんだよね。だからもしよければと思って。

 無理なら大丈夫だよ、一人でゆっくり休んだほうがいいかな?」

 

葵さんは少し悩んでいたようだけど、来てもよいとのことだった。

よし、これは僕が試される時だ・・。体調がよくない葵さんをいかに癒すことができるか・・。

急に自信がなくなってきたがとりあえず頑張ろう。。

 

小説 プラリネ④

 田中Side

 

今日は葵さんとのデート。

今週は仕事が忙しかったが、この日を目標に頑張ってきた。

デートプランだってばっちり練ってある。

 

少し早めに起きて、男ながらに髪のセットにいつもより時間をかけたりして、

俺ってまだまだ子供だな(笑)

 

ブーン、ブーン。スマホのバイブが鳴る。

葵さんから電話だ。

 

出てみると明らかに元気の無い葵さん。

急に心配な気持ちがこみ上げてきて、自分だけハッピーな気持ちでいたことに恥ずかしくなる。

 

『あ、すみません、実は・・体調があまりよくなくて、

今準備はしたのですが、家から出られなくて、、

本当に申し訳ないのだけど、延期にしてもらえないでしょうか?』

 

すごく心配だ。寝ていれば治ると葵さんは言うけれど、声は弱弱しいし、あまりろれつが回っていないようにも感じる。息遣いも荒くかなりしんどそうだ。

 

すると葵さんがなにやら苦しそうな声を発した。

「葵さん?!大丈夫ですか!?」

こちらから何度も声を掛けたのだが沈黙している。

 

 

何度かの呼びかけのあと、「はい。。」かなり弱々しい返事が聞けた。

今日のデートが無理なのは勿論だが、これはかなり重症なんじゃないだろうか。

看病に行ったほうがよいか、そっとしといたほうがよいのか。。

 

こちらが悩んでいたら、葵さんから先に早口で何かを言われ、電話をきられてしまった。

 

え・・?今なんていったのかな?

なんか謝っていたことは分かったのだけど・・。

 

再度掛けなおしてみたが、繋がらず。

気分が悪い?とか聞こえた気がしたので、もしかしたらトイレに駆け込んだり・・?

状況が分からないだけに心配でしかない。

 

とりあえず、葵さんの家に行ってみよう。

会いたくないようであれば、無事を確認して差し入れだけして帰ればよい。

 

小説 プラリネ③

ひたすら痛みに耐え抜いて、まだ腹痛と頭痛はするが、吐き気は落ち着いてきた。

 

今がチャンス、なにか食べて薬を飲もう。

バナナを貪るように食べ、薬を飲み込む。

 

ふう。。

なんとか一息つけた。

薬を飲んだだけで、なんだか少し楽になった気がするから不思議だ。

 

ノロノロとした動きでスマホを取り上げる。

田中さんとの電話を思い出して恥ずかしくて死にそうになる。

 

スマホを見ると田中さんからの着信が3件も入っていた。そうですよね、あんな切り方したら優しい田中さんのことだから、心配してしまいますよね。。

 

メッセージも来ている。

え!!!メッセージを見て、私は驚愕した。

 

***

葵さん、大丈夫?

あまりに心配で様子を見に行ってしまったのだけど、出られる感じじゃなかったかな。。ドアに少しだけどお見舞いかけてきたから良かったら食べてね。

***

 

田中さん、来てくれてたんだ。。!

あのインターホン田中さんだったんだ!

本当に申し訳ない。。

田中さんってなんて素敵な人なの?!

そんな優しい人いる?!

それなのに私ったら居留守を。。。

 

すぐにでも田中さんに電話したい!

でもまた途中で気持ち悪くなってしまったらどうしよう。。そしたらまた心配させてしまう。

 

でも薬も飲んで、先ほどよりだいぶ症状も落ち着いてきている。

 

大丈夫、電話しよう!

 

 

 

 

小説 プラリネ②

葵side

 

やばいやばいやばい!なんか変な声が出てしまった。

 

引いたよね!?田中さん、絶対引きましたよね!?

 

終わった。。この恋、終わりました。。

皆さんどうもありがとうございました。

さようなら。

 

「おーい葵さーん??大丈夫ですかー?」

 

え?田中さん?何か言ってるんですか?

もう私のこと冷めましたよね?まだ電話続けます?

 

「はい、、」とりあえず返事してみたものの、なんと力のない声。先ほどの不快な声のお詫びをしたいのにその気力も出ない。

 

そして吐きそうだ、これは困ってしまった。

 

なんとか呼吸を整えて一気に話そう。

「田中さん本当にごめんなさいお忙しいのに時間作ってくれたのに無駄にしてしまって本当に申し訳ないです少し気分が悪いのでちょっとこれで失礼します本当にごめんなさい!」

 

一気に言い切って電話を切り、スマホを放り投げてトイレに駆け込む。

 

うぉえ。。

涙が止まらないのは吐き気のせいか、田中さんとの恋が終わったことを確信したせいか。。

 

結局少ししか吐かなかったが、多少落ち着いたところでトイレを出た。

 

あーもうダメだ。

吐き気に加えて貧血でめまいも酷い。

腹痛もガンガンくる。

泣いたせいか頭痛までしてきた。

これはもうダメだ。。

寝たいけど寝れない、とりあえず横になって耐え忍ぶしかない。

 

ゔー。あー。

弱々しい唸り声を上げながらベッドの中でひたすら耐える。今日は田中さんとデートだったのにな。田中さんとデートなんて夢だったのかな。そもそも私と田中さんなんて不釣り合いなんだ。そうそう、初めから田中さんなんて無理だったんだよ。。

 

そんなことを考えながらただ時間が過ぎていった。

 

1時間後

 

ピンポーン

 

インターホン鳴ってる。

何か届く予定はなかったはず。

本当に申し訳ないけど無視させてください。

ちょっと今出るのは無理なんです。

宅配人の方、本当にごめんなさい。

また再配達でお願いします。。。

 

ピンポーン

 

心の中で謝ることしかできず本当にごめんなさい、今は出られません。

 

諦めてくれたようで、再び訪れる静寂。

ひき続きベットに横になる私。

痛みに耐え過ぎて体中に力が入っているのを感じる。なんだかもう全部が痛い。

 

あー誰かに助けて欲しいな。。

小説 プラリネ①

葵Side

 

腹痛で目が覚めた。朝6時。

昨夜に来た月のものが、じわじわと牙をむく。

 

動けない。でも起きないと。今日は田中さんとデートだから。

何とか力を絞ってのろのろと動く。

 

鏡の中には顔色の悪い自分。最悪。可愛くありたいのに。

今日のために新しい服だって買った。

でも汚しちゃったら嫌だから、今日はやめておこうかな。

 

とりあえず先に準備を済まそう。

家を出るまで残り2時間だから、1時間で準備して、

あと1時間でなんとか体調を良くさせたい。

 

回復するものでもないことは分かっているけど、

うずくまってじっとしていれば何とかなる!と自分に言い聞かせる。

 

メイクや着替えを何とか済ませてたが、残る時間は1時間も無く。

そして痛みは増えるばかり。どうしよう。

涙が出てきてせっかくのアイメイクもにじんでしまいそう。

体調が悪いせいでメンタルも弱ってるんだ。。

 

家を出る15分前というところで、腹痛の最大の波がやってきて

ベットでのた打ち回った末、今日のデートは無理だと決めた。

田中さん、ごめんなさい。。

 

「もしもし、おはようございます。」

もっとハキハキ話したいけど、声がうまく出せない。

「おはようございます!僕はまだ家です。葵さんは今どこ?」

田中さんの声だ・・。少し癒されてぼーっとしてしまった。

「葵さん?もしもーし」

「あ、すみません、実は・・体調があまりよくなくて、

今準備はしたのですが、家から出られなくて、、

本当に申し訳ないのだけど、延期にしてもらえないでしょうか?」

恥ずかしいが、ここは正直に言うしかない。

体調不良以外の理由でデートに勝る理由などないのだから。

田中さん、忙しい人なのにせっかく予定合わせてくれたのに申し訳ないな。

「え!大丈夫ですか??」

田中さんも困惑している。そうだよね、せっかくの日に体調崩す奴なんて嫌ですよね。

「あ、あのはい、大丈夫です、あのえっと、寝てれば直るので」

なんだか私もしどろもどろになってしまう。

どうしよう。本当は体調不良は嘘でデートに行きたくない人だと思われないだろうか。

ぐるぐる考えながらいたら、吐き気が強くなってきてしまって。

「う”っ」

やばいやばいやばい!なんか変な声が出てしまった。

小説 チョコレート⑧

佐々木健太

 

紅茶を淹れてマグカップを渡すと、橘さんは少し落ち着いた様子で

笑みを見せてくれた。

 

「なに?大丈夫なの?少しは楽になった?」

なんだかホッとして、僕も笑ってしまう。

「うん、ありがとう。」

橘さんはうなずいたけど、そのままお腹を抱えてしまった橘さんはやはり辛そう。

ダイニングテーブルに向き合って座っていたけど、椅子ごと移動して橘さんの横に座る。そしてまた腰をさすってみる。これでいいのかよく分からないのだが。

 

少し紅茶に口をつけた橘さんだけれど、すぐにマグカップをテーブルに置き、

眉間にしわを寄せている。じっと黙って耐えている感じだが、

なんだか先ほどよりも顔色が悪くなってきた気がする。

体もなんだか揺れているようだ。

ベットに移動させた方がいいかなと思ったところで、

橘さんが吐きそうなしぐさを見せた。

 

声も出さずに吐き気に耐えている様子の橘さんはかなり辛そうで

少しパニックになっているようにも見える。

「ト、トイレに。。」

焦ったようにつぶやく橘さんだが、うまく立ち上がれないようだ。

貧血なのだろうか、顔色も悪いし、トイレに行くまでもかなりの体重を僕に預けていた。僕はトイレの中までついていって背中をさすってあげたかったのだが、

そこは橘さんは嫌だったのか、トイレの外に押し戻されてしまった。

「向こうで座ってて。。」

聞いたこともない苦しそうな声で言われて、しぶしぶダイニングへ僕はもどる。

 

トイレで橘さんは吐いてしまっただろうか。

心配でいてもたってもいられないのだが、吐いているところを見られたくない

気持ちも少し分かるので、しばらく待つことにした。

少しの時間が永遠のように長く感じられ、心配で心配で

もういいだろうと、まだ出てこない橘さんの様子を見に行く。

 

小さくノックをして声をかけると、

橘さんがゆっくりと動く音が聞こえ、しばらくするとトイレを流す音が聞こえてきた。

そしてうつむいたままの橘さんがゆっくりと出てきた。

 

顔を見ようと覗き込むと、橘さんがふらついて、僕の胸にぶつかってきた。

慌てて抱きとめた僕だったが、うまく捕まえられず、ズルズルと橘さんはしゃがみこんでしまう。

 

「橘さん!?」

声をかけると、橘さんは色の無い顔で少し照れたように微笑んで

「大丈夫大丈夫。」とつぶやく。

まったく大丈夫には見えないのだが、意識はあるし反応もしてくれることに少し安心する。

「吐いちゃった?」と聞くと、橘さんはゆるゆると首を振り、

「今朝ちょっと吐いたから。もう吐くものないかな。低血圧だと思う。

ちょっとやっぱり横になってもいい?ベットまでお願いできる?」

 

顔色が悪いし呼吸も乱れてはいるが、しっかりとした口調で話す橘さん。

本当はすごく辛いのに、うまく対処できない自分に合わせてくれて

指示してくれているのが申し訳なく情けない。

 

「うんうん、少し寝たほうがいいよ。ベットまでいこう。。」

橘さんの肩を抱きゆっくりと立ち上がらせてから、ベットまで支えていく。

 

「うぅ。。」

ベットに横たわると、橘さんは苦しそうな声を出して枕に顔をうずめ

しばらくじっとした後、枕から顔をあげ、

「佐々木さんありがとう、10分だけ寝ていい?」

と聞いてきたので、僕は もちろん と答え、

側にいるべきか悩んだが、それでは橘さんが落ち着かないと思って、

「ダイニングのほうにいるね。苦しかったら呼んでね。」

といって側を離れた。