体調不良小説 好きな人に癒されたい!

体調不良のときに癒してくれる彼氏を妄想。

小説 チョコレート③

橘貴子

 
 
島木さんと山本さん、そして私の恋人である佐々木健太さん。
3人と私で夕食会。
私と佐々木さんが付き合っていることは、島木さんと山本さんはもちろん知らない。
 
特に恋愛の話をする人たちでは無いので、大丈夫だと勝手に安心していたのだが、
ついに佐々木さんの彼女の話になってしまった。
 
「佐々木さん、彼女ができたって聞きましたよ」
始まりは山本さんのこの一言から始まった。
この山本さんが言っている彼女とは佐々木さんが以前に付き合っていた彼女のことで、
看護師の人だと聞いている。
 
すでに佐々木さんとその看護師の方は別れた(と聞いている)のだが、
周囲にはまだそこまで伝わっていなかったようだ。
 
「いやいや、いないですよ」と佐々木さんはうやむやに答えていたのだが、
島木さんが追い打ちをかけるように
「佐々木さんは愛人がたくさんいるんですよ」という。
 
「僕、聞いてますよ。
佐々木さんはいろんな女の人と歩いているところを目撃されてます。」
 
え。そうなんだ。なんだか少しショック。
あれ?ひょっとして私も愛人なのかな。
ふっと心に影が差す。
 
「何人の看護師と付き合ってるんですか」
島木さんの声がなんだか遠く聞こえるようだ。
 
「愛人とかいないですよ。ゼロ人です。」
佐々木さんは笑いながら否定していたれど、なんだか私の心は晴れない。
 
私が仕入れた情報では看護師の人と以前付き合っていたが
金銭感覚の違いから関係は終わっているはずだ。
この情報は信じられるところから入手している。
 
でも愛人については、、、聞いていなかった。
佐々木さんはそんなことしない人だと信じているし、
もちろん島木さんの冗談なのだが、
それでもなんだか傷ついてしまった。
 
こんなことで、こんなに簡単に傷ついてしまうなんて。
自分の心の弱さに落ち込む。
 
その場は笑っていられた気がするけど、
大丈夫だったか自信がない。
とりあえず手は震えてしまっていたと思う。