小説 プラリネ④
田中Side
今日は葵さんとのデート。
今週は仕事が忙しかったが、この日を目標に頑張ってきた。
デートプランだってばっちり練ってある。
少し早めに起きて、男ながらに髪のセットにいつもより時間をかけたりして、
俺ってまだまだ子供だな(笑)
ブーン、ブーン。スマホのバイブが鳴る。
葵さんから電話だ。
出てみると明らかに元気の無い葵さん。
急に心配な気持ちがこみ上げてきて、自分だけハッピーな気持ちでいたことに恥ずかしくなる。
『あ、すみません、実は・・体調があまりよくなくて、
今準備はしたのですが、家から出られなくて、、
本当に申し訳ないのだけど、延期にしてもらえないでしょうか?』
すごく心配だ。寝ていれば治ると葵さんは言うけれど、声は弱弱しいし、あまりろれつが回っていないようにも感じる。息遣いも荒くかなりしんどそうだ。
すると葵さんがなにやら苦しそうな声を発した。
「葵さん?!大丈夫ですか!?」
こちらから何度も声を掛けたのだが沈黙している。
何度かの呼びかけのあと、「はい。。」かなり弱々しい返事が聞けた。
今日のデートが無理なのは勿論だが、これはかなり重症なんじゃないだろうか。
看病に行ったほうがよいか、そっとしといたほうがよいのか。。
こちらが悩んでいたら、葵さんから先に早口で何かを言われ、電話をきられてしまった。
え・・?今なんていったのかな?
なんか謝っていたことは分かったのだけど・・。
再度掛けなおしてみたが、繋がらず。
気分が悪い?とか聞こえた気がしたので、もしかしたらトイレに駆け込んだり・・?
状況が分からないだけに心配でしかない。
とりあえず、葵さんの家に行ってみよう。
会いたくないようであれば、無事を確認して差し入れだけして帰ればよい。