小説 プラリネ⑤
田中Side
葵さんのマンションまで来てみたが、インターホンには出れないようだ。
かなり心配ではあるが、これ以上はどうしようもできない。
差し入れだけドアに掛けて、その旨をラインで連絡しておこう。
近くのカフェで少しだけ待ってみようかな。
しばらくカフェで時間をつぶしていると、電話が。
葵さんだ。
『田中さん、今日は本当にごめんなさい。うちに来てくれたんですね、あの、居留守してしまって本当に、ごめんなさい、あの、田中さんだとは思わなくって・・』
声はかなり弱々しいが、朝の切羽詰った感じではないようで少しだけ安心する。
「全然気にしないで、ゆっくり休んでね。体調はどんな感じ?」
『さっき薬を飲んだので、もう少ししたら楽になると思うのですが、、本当にごめんなさい。。』
消え入りそうな声で謝る葵さん。そんなに謝らないでほしいよ。
でも声を聞いたら会いたくなってしまうな。
「もし葵さんがよければなんだけど、お部屋にいってもいいかな。」
「え?いまどこにいるんですか?」
「実は近くのカフェでコーヒー飲んでるんだよね。だからもしよければと思って。
無理なら大丈夫だよ、一人でゆっくり休んだほうがいいかな?」
葵さんは少し悩んでいたようだけど、来てもよいとのことだった。
よし、これは僕が試される時だ・・。体調がよくない葵さんをいかに癒すことができるか・・。
急に自信がなくなってきたがとりあえず頑張ろう。。